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Boyer Paris Saphir 'B' 50mm f3.5
 

Lens Data

Lens Unit

Lens Photo

レンズ構成 : plasmat型(orthometar型)と思われる
製造年 : 1958-9年ごろ
コーティング : SOM Berthiot に委託。ブルーコーティング

Lens composition = plasmat(orthometar) type
Production year : 1958-9
Coating : blue coating entrusted to SOM Berthiot


Lens Impression


ボワイエ社(Optiques Boyer)に関してはあまり情報がなく、現在Galarie-photoというサイトの「a short history of the company with an incomplete catalog of its lenses.」という記事が信憑性の高い情報のほぼすべてのようで、他の記事はそこからの抜粋もしは翻訳が多く、また不正確な情報が混在したりしているようです。その記事から同社の歴史ををかいつまんで要約しますと、、

ボワイエ社は1895にAntoine Boyerによって25, Bvd Arago, Paris 13emeに設立され、当初は4人の従業員でスタートした小さな工房であった。
その後二人の息子AndreとMarcelに引き継がれたが、会社の規模はそれほど変わらないまま、1925年にAndreが死去し、残されたMarcelは会社をAndre Levy(1890-1965)に売却した。
AndreはかつてLacour-Berthiotで働いていた経歴をもち、Boyer社買収時点では、Baille-Lemaire社の写真部門の部門長であった。
Andreは1965年に死去するが、1925年から1965年まで一貫してBoyerのレンズ設計はAndreの妻であるSuzanne Levy-Bloch(1894-1974)が担当しており、フランス最初の女性レンズ設計者とも言われている。
同社は1970年に破綻し、すでにその数年前に倒産していたRoussel社の前オーナーであったM.Kiritsisが所有するCEDIS社に買収され、CEDIS-Boyerのブランドで復活するが、きわめて小規模な事業であり、レンズ設計と最終組み立てを行っていたが、レンズバレル以外の部材はすべて外部からの購入であった。
この事業もKiritsis氏が死去した後、1982年に姿を消した。

というような内容です。
英文はhttp://www.galerie-photo.com/boyer-lens-optic.htmlを参照。但し、原文のフランス語からの翻訳に一部誤りがあります。

さらに主なレンズには以下のような種類があるようです。

・Apo Saphir  ヘリア型の3群5枚構成 50mm-2500mm f9.0/f10.0/f12.5
・Beryl      f6.8の2群6枚ダゴール(Dagor)型 50mm-355mm
・Emeraude   f6.8の2群6枚ダゴール(Dagor)型。Berylを複写用鏡胴に収めたもの。
・Opale     1939年以前に作られたf4.5の3群4枚のテッサー型のソフトフォーカス用レンズで、色収差を残してソフト描写をする珍しいレンズ。50mm-500mm
・Perle      f9の4群4枚トポゴン-メトロゴン型(ダブルガウス変形)
・Rubis      トリプレット型で、数種類のf値がある。第二次大戦後コスト高で生産終了。
・Saphir     多様なタイプのレンズがある同社の代表的レンズ名。
          f1.0(50mm)、f1.4(15mm-100mm 4群6枚ダブルガウス型)、f1.9(15mm-200mm 4群6枚ダブルガウス型)、f2.3(中央に張り合わせのある
                    トリプレット変形型)、f2.8(20mm-100mm 4群6枚ダブルガウス型)、f3.5/f4.5/f5.6/f6.3 (15mm-700mm 3群4枚テッサー型)
・Saphir B    4群6枚のプラズマート型が基本 25mm-300mm f3.5/f4.5f4.8/f5.6
・Topaz     トリプレット型 20mm-210mm f2.8/f2.9/f3.5/f4.5/f6.3
・Zircon     4群6枚のプラズマート型 110mm-360mm f4.0/f5.6/f7.7

すべて宝石の名前ですね。しかも結晶の形とレンズ構成枚数を関連付けるなど、かなり凝ったネーミングをしています。
レンズ設計自体にはオリジナリティはあまりないようですが、製品名などには女性設計師の強い思い入れと愛情も感じられます。

さて、私自身はどちらかというとレンズ設計のオリジナリティや歴史的転換点のレンズを中心に興味を持ってきましたので、いままであまりBoyer社のレンズには手を出してきませんでした。今回はたまたまプラズマート型のSaphir Bの50mmf3.5ライカ連動レンズがきわめて廉価で販売されておりましたので、50mmマニアの性分が出てしまい、つい購入してしまったものです。
しかし、よく考えてみますと、50mmレンズにはキノ・プラズマート型、マクロ・プラズマート型、クラインビルト・プラズマート型はありますが、純プラズマート型というのもあまり見かけません。もしかするとなかなか良い買い物をしたのかもしれませんね。


  Photos with Boyer Saphir 50mm f3.5
 
2016
Atami,Hayama
(熱海、葉山)

葉山

熱海



まだまだ寒い時期でしたが、海に近いこれらの場所は心なしか暖かい空気が流れているように思えました。
時間もゆったりと流れている感じで、緩やかな写真が撮れたように思えます。

レンズ描写はやや内面反射が目立ちますが、絞るととてもシャープで切れ味のよさを感じます。
開放ではピント部分のシャープさは保ったまま、周辺部に収差が穏やかに現れますが、主体は球面収差と非点収差のようです。それほど目立たないレベルですが、全体がシャープな分だけ、少しうるさく感じる場合もあるかもしれません。


It was still cold day, but I felt rather warmer in these place near from sea. Also felt the time slowly passing by to be able to take calm and peaceful photos.

The description of this lens shows a little strong inside reflection, but also express very clear and sharp resolution. At the full aperture, more aberration around peripheral area becomes stronger gently along keeping its sharpness at the focus part. Its main aberration seems to be Spherical Aberration and Astigmatism. The aberration is not so noticeable but you may feel a little annoying as its overall sharpness.